陽炎

始発で帰る 最寄りまで眠る
一日の流れに逆らう下り電車の中
胸に閊えた異物感を無視するように目を閉じる
駅と駅の間 数分毎に船を漕いでは
細切れの夢を見る
走馬灯のようなバグ

口の中に広がる クリームメロンソーダ
行楽日和とは言い難い炎天下で
人気のない井の頭公園をひた歩いている
はしゃぐ私のそばには
いつもどこか上の空の 生返事 気怠げな横顔
走馬灯のようなバグ

「面影探す・あの夏・陽炎」
「繰り返される過ちの輪舞曲」

午後の強い陽が照らし 茹だる甘い幻
暑さが引鉄となって不意に思い出すんだ
夢に溺れ乗り過ごす 知らぬ駅でただ一人
途方に暮れ立ち尽くす 遠い空に目を凝らす

「面影探す・あの夏・陽炎」
「繰り返される過ちの輪舞曲」

細切れの夢を見る
走馬灯のようなバグ

細切れの夢を見る
走馬灯のようなバグ